やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2018/12/18
医療費控除と傷病手当金・高額療養費

[相談]

 私は今年、がんの告知を受け、その治療のために3ヶ月間会社を休みました。幸い経過は良好ですが、医療費負担が高額となったため、来年3月に所得税の確定申告で医療費控除の適用を受けようと考えています。
 その医療費控除の計算にあたり、会社を休んでいた間に健康保険(協会けんぽ)から受給した「傷病手当金」と「高額療養費」はどのように取り扱われるのかを教えてください。


[回答]

 医療費控除の計算上、「高額療養費」は支払った医療費の合計額から差し引く必要がありますが、「傷病手当金」は差し引く必要はありません。


[解説]

1.健康保険法上の傷病手当金とは

 公的な医療保険のうち、協会けんぽ・組合健保・共済組合などが運営する健康保険には、被保険者が病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために「傷病手当金」制度が設けられています。
 この傷病手当金とは、被保険者が病気やケガのために会社等を休んだ日が連続して4日間以上あった場合に、その4日目以降、会社等を休んだ日に対して支給されます。ただし、休んだ期間について会社等から傷病手当金の額より多い給料の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
 その支給期間は、支給を開始した日から数えて1年6ヶ月です。また、1日あたりの支給金額は、協会けんぽの場合、原則として下記の算式で計算した金額となります。

(算式)
1日あたりの支給額
=[支給開始日以前の継続した12ヶ月の各月の標準報酬月額を平均した額]÷30日×2/3

 なお、市区町村が運営する「国民健康保険」にはこの傷病手当金制度はありません。


2.健康保険法上の高額療養費とは

 公的な医療保険には、上記1.の傷病手当金以外にも、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される「高額療養費」制度が設けられています。自己負担限度額は、年齢および所得状況等により設定されています。
 なお、高額療養費は、あとで払い戻されることが原則とされていますが、がん治療のように窓口での支払いが高額になることが想定される場合には、あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受けて医療機関の窓口で提示すること等により、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができます。


3.健康保険法上の給付を受けた場合の医療費控除の取扱い

 所得税法上、その年に自分や生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額(10万円、もしくは、その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額)を超えるときは、その超える部分の金額を確定申告で「医療費控除」として申告することによって、その年の所得から差し引くことができます。
 この医療費控除の金額の計算にあたっては、実際に支払った医療費の合計額から生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費等を差し引くこととされています。ただし傷病手当金については、医療費の合計額から差し引く必要はないこととされています。
 したがって、今回のご相談の場合は、実際に支払った医療費の合計額から受給した「高額療養費」を差し引く必要がありますが、「傷病手当金」については差し引く必要はないこととなります。
 なお、「高額療養費」について、上記2.で述べた「限度額適用認定証」を医療機関の窓口で提示した場合には、窓口で支払う医療費は「高額療養費」制度の適用を受けた後の金額(自己負担限度額)となっているため、窓口負担額から高額療養費相当額を改めて控除する必要はありません。

[根拠法令等]
 所法73、120、所基通73-8、73-9、健康保険法99、115など


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